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【オウム真理教】

宗教の恐ろしさは感応にあり

「地下鉄サリン事件」や「弁護士一家殺人事件」「松本サリン事件」など、犠牲者二十九名、負傷者は六千名を超えた一連のオウム真理教事件をめぐり、死刑が確定していた教祖・麻原彰晃(松本千津夫)死刑囚ら十三人の死刑が執行された。しかし、我が国の犯罪史上最悪とも言われる凶悪事件を起こし、死刑が執行された今もなお、麻原を崇拝し、名称を変えながら活動を続ける者たちがいる。

Aleph
オウムは宗教法人解散処分後も、その残党が「宗教団体アレフ」から「宗教団体アーレフ」に、さらに「Aleph」に名称を変えて今日も活動している。
同団体では「現世における救済。病苦からの解放。解脱、悟り」などの理念を掲げ、幸福な社会の実現をめざすなどと主張する。
しかし、テロ活動などの犯罪を監視する公安調査庁によれば、
「現在も麻原に帰依(きえ)し、施設内の祭壇などには麻原の写真を掲示して、一連の事件を起こした当時と同等の修行を行い、教団名を秘匿(ひとく)した勧誘活動を活発に展開している(趣意)(同庁公式ホームページ)
と、今なおオウム当時とほぼ変わらぬ活動を展開していると警告を鳴らす。

ひかりの輪
「ひかりの輪」は、平成十九年に「宗教法人アーレフ」から脱退した上祐史浩(じょうゆうふみひろ)が設立したもの。同団体の公式サイトには、
「『ひかりの輪」は、宗教ではありません。特定の教祖・神・宗派を信仰せずに、仏教の思想や瞑想法、現在の心理学をはじめとする、東西の幸福の知恵、思想哲学を学ぶ教室です」
とある。しかし、この団体についても公安庁は、
「上祐史浩が組織の存続を求めた麻原の意志に従って設立し、”麻原隠し”の取り組みを推進して麻原からの脱却を強調しているが、依然として麻原の影響下にある(趣意)」と指摘している。

山田らの集団
また公安庁が「山田らの集団」と呼ぶ集団もある。
「Aleph」との意見対立の結果、一定の距離を置いて活動をしているとされるが、公安庁は、
「『Aleph』と同様に、麻原に対する絶対的帰依を堅持して活動している(趣意)」と、これまた注意すべき集団として監視している。

宗教の正邪を訴えよう
現在もこれらの後継団体に年間百人以上が新たに入信しているという。
その理由をジャーナリストの江川紹子は、
「人間関係に悩んだり、社会に居場所がなかったりする若者はいつの時代でもいる」(朝日新聞 平成三十年七月七日付)と述べ、また社会心理学者の西田公昭氏は、
「特殊な集団が若者を拉致(らち)するのではない、少しでも自分の生き方に悩みを持っていると、人はどこかに手を出したくなる。それをつかむのがカルトだ」(同紙 平成三十年七月十二日付)
と分析している。
なぜ現実社会に自分の居場所がないと感じるのか。
抱えている閉塞感をどこから来るのか。悩む若者に当面の答えや居場所を提供するだけでは、彼らが次なる悩みに直面したときどうするのか。
基本的な問題は、人々が宗教の正邪に対して無知であり、心の世界に暗いこと。正法に背(そむ)き悪師に帰依することが、不幸と混乱の原因だと知らないこと。
邪法邪師を信仰すれば、その本尊や教えに感応し、次第に濁(にご)った思想・生命となり、悲惨な人生を歩むことになる。オウムはその現実の例である。
また、過去の悪夢などではなく、これからの問題でもある。
日蓮大聖人が涅槃経を引かれて、
「法に依って人に依らざれ」(御書 五五八㌻等)
と仰せのように、真実の宗教とは、正しい救済の真理、明確な仏の文証、実際の功徳の現証に裏づけされた教えを言う。
悩める多くの人たちが危険な教祖の思想に毒される前に、唯一の正法正義を受持する我々が慈悲の折伏によって救い導くべきである。

(大白法 第九八九号 平成三十年九月十六日)